将来的に銀行を作りたいという野望を持つ人は意外と少ないかもしれません。ゼロから銀行を作るなんて無理、そう思う人も多いでしょう。そんな中、異例の経歴で銀行づくりを実現させようとしている人がいます。株式会社H.I.F.の代表取締役社長東小薗光輝さんです。
自衛隊出身
大阪府高槻市出身の東小薗光輝さんは母子家庭で、なんとか大学に行ける状況になった矢先、母親が交通事故を起こしそれどころではなくなってしまいます。この時、自衛隊のチラシが目に飛び込み、生活を安定させようと入隊します。国を守る自衛隊なので、体力をつけるのがしんどく、心臓が破裂しそうになるほどトレーニングを課されます。その中で、そう簡単に人は倒れず、やりたいことをやりきることの大切さ、精神力を学びます。とはいえ、自衛隊だけでキャリアを終えるのもどうかと思い、21歳の時に金融業界へ。低所得者向けの消費者金融を経営する会社でキャリアを重ねます。意外とブラックではなく、社会人としてのイロハ、ミスを徹底してなくすスキルをここで培ったそうです。
銀行を作るためにHISへ
先物取引の会社に転職し、毎日1000件程度の電話をかけ続けていた東小薗光輝さん。しかし、人のために役立っている実感が得られず、かといって、これまでに身に着けた営業のスキルは活用したい、そんな時に抱いた夢が銀行を作ることでした。銀行と実業がセットになった旧財閥系が多く、実業を多角的に経営し、銀行を作る余地がどこにありそうかを探した中でHISにたどり着きます。契約社員として入る際、最初は給料ゼロでいいから3か月後に給料を決めてほしいと面接で伝え、必死な思いで仕事をした結果、わずか1年で正社員、その後管理職となります。
銀行の代理をする仕事
東小薗光輝さんが銀行設立に関する勉強を始めた際、日本はマイナス金利の時代に突入し、銀行は稼げない状況になり、参入には危険が伴うことを悟ります。しかし、そこで終わらないのが東小薗光輝さん。調べていく中で銀行代理業という仕事が海外ではやっていることを知ります。株式会社H.I.Fでは売掛金の保証業務、財務コンサルティングなどを手掛け、請求代行のコストを下げる提案も行っているのだとか。将来的にはひとり親世帯に対してのベーシックインカム事業を展開しようとしており、期待が集まります。