河野秀和
経歴:1975年熊本県生まれ。1998年外資系金融機関を経て独立後、総合リスクマネジメント事業や衣服のカスタマイズ事業を行い、2013年に米サンフランシスコ/シリコンバレーへ渡る。デザイン戦略、M&Aやベンチャー企業の経営、事業戦略についての見識を広める。帰国後2014年、シタテル株式会社を設立。現在、熊本と東京を拠点に活動。 ・経済産業省「服づくり4.0プロジェクト」協力企業 ・内閣府「地域しごと創生会議」IoTを活用した新たな企業間連携の促進 代表企業 ・Google「デジタル革命とそれを取り巻く規制」メンバー ・総務省「ICT地域活性化大賞2016」大賞/総務大臣賞受賞 ・ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 2017「クリエイティブイノベーション部門」ゴールド賞受賞 ・熊本大学非常勤講師
創業経緯
河野氏は外資系金融機関での勤務を経てからコンサルタントとして独立していた。シタテルを起業するきっかけになったのは故郷である熊本で経営コンサルタント業をしていた時。担当していたセレクトショップから「オリジナル商品を30着だけ作りたい。ただ、こんな小ロットで生産を請け負ってくれる工場がない。」と相談されたのだとか。そこで河野氏はアパレル業界特有の流通構造を肌で感じる。一方で、熊本県内はもともとファッションに明るい土地であり、縫製工場が多数点在していた。河野氏はダメ元で工場に問い合わせると、すんなり受け入れられたという。閑散期だったこともあるのだろうが、予想外の反応。ショップ側、工場側双方から喜ばれたことで、創業のヒントを得る。この時、工場が繁忙期で断られていたらシタテルは存在していなかっただろうと河野氏は語る。
その後渡米してシリコンバレーで経営について学び、2014年にシタテルを立ち上げる。シタテルが見本としているのはAmazonのAWSだという。アパレル業界ではトレンドや気候が消費を大きく左右する。コロナ禍の影響でレナウンが民事再生申請をしていることは記憶に新しいだろう。そういった業界だからこそ、大口から小口まで柔軟に生産対応できるニーズは高まる。現在では数百を超える縫製工場と1万を超える事業者が存在するプラットフォームに成長した。
エピローグ
河野氏が言うように、最初からあきらめて工場への小口生産を打診していなければシタテルは誕生していなかっただろう。縮小する日本の縫製業界を救い、事業者側の多様なニーズにも対応可能という、三方良しのビジネスモデルを構築した河野氏。何事も行動してみないとわからないということだ。