パンを通じて、世界中に夢と笑顔を届けていきたい

パンを通じて、世界中に夢と笑顔を届けていきたい

株式会社パン・アキモトは、栃木県那須塩原市に本社を置く社員約60人の会社です。パンの缶詰で有名な同社の代表取締役が秋元義彦氏です。秋元氏は、「パンの缶詰」を開発し大規模な災害地へ自ら出かけ無償提供する活動を続けています。さらに、循環型支援事業の「救缶鳥」プロジェクト、血糖値の上昇が緩やかでしかもおいしいパンの開発販売などアイデアと行動力に満ちた方です。
秋元氏は大学卒業後都内のパン屋で約2年間修業した後、1947年に秋元氏のお父さんが創業した現在の(株)パン・アキモトの前身の(有)秋元ベーカリーに就職しました。

パンの缶詰

秋元氏がパンの缶詰を開発したきっかけは、1995年の阪神淡路大震災です。震災被災者の支援のため焼き立てのパンを自社のトラックで現地に届けました。被災者には喜ばれましたが、生パンで日持ちがしないため食べきれない分は数日で処分せざるを得ませんでした。被災者からの要望もあり、長期保存できるやわらかくておいしいパンをつくるため秋元氏は冷凍パンや真空パックなど試行錯誤を繰り返し、「パンの缶詰」の開発に成功しましたが、当初はほとんど売れませんでした。
しかし、新潟県中越地震のとき届けたパンの缶詰が紹介され、災害備蓄品として購入されるようになりました。災害備蓄品のパンの缶詰は保存期限が来ると改めて購入し既存分は処分されます。
賞味期限が到来したパンの缶詰を処分せずに有効活用する方法を模索した結果、2009年から循環型支援事業の「救缶鳥」プロジェクトを立ち上げました。具体的には、賞味期限3年のパンの缶詰を納品し、2年経過した時点で前回納品分を下取りするととも新規納品分を割引します。下取りしたパンの缶詰は、国内の被災地支援やNGO団体と連携し海外への義援物資になります。また、自社ホームページへの掲載や「救缶鳥ニュース」を送るなどして、この事業の協力を得られた企業等への見える化策をすすめています。
また、医療食のパンが味気ないとの要望を受け、糖尿病患者向けにカロリー・糖質・血糖値のコントロールを目指しなおかつおいしい「プチパン80」を開発し販売しています。

社会貢献がビジネスを育てる

2009年にNASAの審査をクリアし宇宙飛行士の若田光一氏、翌年には山崎直子氏がパンの缶詰を国際宇宙ステーションに持参し、高い評価を受けました。
パンの缶詰、「救缶鳥」プロジェクト、糖尿病患者のためのプチパン80のいずれも困っている人へのやさしい商品を作る気配りに満ちています。
この気配りの延長線としての社会貢献活動を継続して行うことで(株)パン・アキモトの製品が世の中に知られるようになり、同社の社会貢献活動ががビジネスを育て続けています。