三鷹光器株式会社 代表取締役社長 中村 勝重
「設計図は、現場にあり」
東京都三鷹市に本社を置く三鷹光器株式会社の代表取締役社長が中村勝重氏です。
同社は、天体望遠鏡や人工衛星搭載用の測定機器など精密機械メーカーとして1966年に創立されました。
同社は、NASAのスペースシャトル(コロンビア)に搭載された特殊カメラやライカマイクロシステムズ社と技術提携した脳神経外科用の手術用顕微鏡などを製作し、第3回ものづくり日本大賞において内閣総理大臣賞を受賞するなど、その高い技術力は高く評価されています。
中村氏は、「設計図は、現場にあり」信条として製品開発を続けています。
その一例として、脳外科手術用顕微鏡の開発に際して、中村氏自身が手術の立ち会いや医師とのコミュニケーションをとり、脳外科手術に必要な現場ニーズを把握しました。その結果、どんなに動いても焦点がずれない顕微鏡を開発しことがあげられます。
ユニークな採用試験
同社の方針には、一見すると時代にそぐわないように見えるユニークなものがあります。例えば、ものの設計では「CAD」という設計支援ツールを使用して設計することが一般的ですが、同社では、CADは一部の管理職を除き使用できません。これは、手書きで設計することで、頭を使うことを奨励しているためです。
そのため、同社の採用試験では模型飛行機をつくる、裸電球のデッサンを描かせる、焼き魚を食べさせるなどのユニークな採用試験を行っています。器用さ・洞察力・モノ作りへの思いをみて5年、10年後を見据えて見どころある新人を採用するためです。
新入社員には、先輩社員の動作を見て覚えることを求め、観察ができない人間はものづくりに向いていないと判断します。新人であっても自分で答えを探すことが求められますが、小規模な会社の特性をいかし様々な領域の分野の先輩がアドバイスをし、電気、機械やソフトなどの幅広い領域の知識を蓄えていきます。
便利でなく必要とされるもの
三鷹光器(株)は、価格競争に巻き込まれるような大量生産は行わず、創意工夫を重ねオンリーワンの単品受注の製品の開発を続けています。発想を具現化する技術力を磨き続け、100件を超える特許を取得してきました。
大手メーカーが作っている「より便利なもの」ではなく、自分の技術領域で顧客の声に耳を傾け、開発者自らが現場に望んで「顧客に必要なもの」をつくりつづけ、世界の最先端技術企業として進み続けています。