「資本主義の社会に刺激を与える」株式会社VALU元代表取締役社長 小川晃平

小川晃平がVALUを設立するまで

小川晃平は1968年に生まれました。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメントを卒業したのち、2011年にグリー株式会社に入社。その1年後の2012年にはシリコンバレーにある米国視点で、サーバーエンジニアとして全米3位のモバイルゲーム「リード・サーバー」の開発に携わりました。日本に帰国した後はフリーのエンジニアに転身。複数の事業の立ち上げを行うも、資金不足に悩み事業拡大を果たすことはできませんでした。そんな中、小川晃平が出会ったのが当時話題になった「ビットコイン」。ビットコインには、ビットコインと互換性のある独自通貨が発行できる「カウンターパーティー」という機能が搭載されており、VALUを共同設立した中村洋基と、ライブドアなどを手掛けた堀江貴文の3人で思いついたのが「独自通貨の自由な売買」でした。このシステムによって、個人の信用をもとに資金を集うことができるのではないかと考えたのです。そして2016年には株式会社VALUを設立。2019年には50億円の資金調達を達成するも、2020年4月のコロナ禍で資金不足に陥り、残念ながらサービスを終了する運びとなりました。

小川晃平が目指す「評価社会」とは

最近は個人が活躍できる仕組みが整っていますが、その変化に伴っていないのが「信用の仕組み」です。話題性ある人物でも事業でも、社会的信用がなければ投資してもらえず、資金に困ってしまう。その一方でスタートアップ企業などには投資金が集まり、潤沢している。そんな資本主義社会の資金の滞りを是正すべく小川晃平が、中村洋基とともに立ち上げたのが株式会社VALUです。

VALU騒動で浮き彫りになったシステムの課題

小川晃平がVALUを設立した一番の理由は「頑張っている人をサポートする」ということ。VALUを設立した当初は細々と徐々にサービスを拡大していければ良いなと、ターゲットにしたのは仮想通貨が好きな人とYouTubeなどのインフルエンサーでした。このインフルエンサーをターゲットにしたことにより、予想外の伸びを見せ、結果として小川晃平の「投資」という応援よりも「投機」という利益目的のVALU利用が目立ってしまったのです。残念ながらVALUのサービスは終了してしまいましたが、小川晃平が目指した「個人でも信用を得て、資金を得られる社会」のきっかけとなる事業はこの先必ず登場するでしょう。