ウミトロン株式会社代表取締役社長、藤原謙が開発した技術「宇宙工学×水産養殖」とは

藤原謙の生い立ち

藤原謙は1982年に大分県で生まれました。東京工業大学機械宇宙システム専攻を修了し、その後、同大学大学院の工学修士を取得。学生時代には小型衛星開発プロジェクトに従事し、2008年からは宇宙航空研究開発機構「JAXA」にて誘導制御系研究開発員として、天文衛星プロジェクトや海外宇宙機関との共同実験を担当していました。2011年にはカリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールに留学し、経営学修士(MBA)を取得。在学中はシリコンバレーでベンチャーの創業支援と宇宙旅行の事業戦略策定を行っていました。帰国後の2013年、三井物産株式会社で新事業開発を担当し、農業ITベンチャーへの投資を実施。また、衛星データを用いた精密農業サービスの海外展開にも従事していました。藤原謙が自ら会社を立ち上げたのは2016年の時。株式会社UMITRON(ウミトロン)を立ち上げ、現在は衛星の海洋観測データを活用し、水産養殖の生産効率化事業を行っています。

藤原謙が株式会社ウミトロンを創業したきっかけと体験

現在ウミトロンでは遠隔操作やモニタリング機能を兼ね備えた、「UMITORON CELL」という自動給餌機をメインプロダクトとしています。藤原謙が、この給餌に目を付けたのは、留学中~帰国後に農業のIT化、効率化をする会社のサポートをしていた時でした。この時「宇宙技術と第一次産業の接点」に面白さと可能性を感じ、さらに限られた水資源をどう使って人の生活をサポートしていくかを考え、ウミトロンの創業に至りました。特に「限られた資源」について着目し、食糧生産の課題に向き合うことにしたのです。食料問題に向き合うことにしたのは、留学中にナイジェリアの学校給食プログラムにコンサルタントとして関わった経験から。このように藤原謙が自ら体験した、数多くの出来事がウミトロン創業に大きく関係しているのです。

藤原謙が着目した水産養殖の課題と、テクノロジーによる解決方法とは

水産養殖の大きな課題のひとつである「給餌」を解決するため、衛星という宇宙工学のテクノロジーをもって解決に立ち上がった藤原謙。この衛星のテクノロジーを駆使することにより、養殖産業のコストのうち6~7割を占める餌やりを最適化することができます。さらに経営者視点での恩恵があるだけではなく、データ分析によって、餌の量の最適化が可能に。餌に利用される天然魚の乾燥粉末の無駄を減らし、結果として天然魚を保護するため、持続可能な海洋資源の利用に繋がります。一見繋がることのなさそうな水産業と宇宙工学ですが、観測やデータ分析によって無駄のない効率的な水産業の運用が可能となったのです。